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テキストサイトを懐かしむ30代。雲井の日記です。

双子コーデの彼が消えた冬…

  2016/01/25      by 雲井 あき

双子コーデの彼が消えた冬…

昨年の冬からずっと気になる人がいる。いや正確には「いた」

鮮やかな青色のダウンジャケットを着ているその人(以下、青色さん)を、最初に見かけたのは通勤時の駅のホームだった。
その青色さんは、毎日私と同じ電車に乗り、同じ駅で降りた。

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彼は黒色のニット帽をかぶり、黒色のパンツを履き、黒色のポーターのリュックを背負っていた。そして、彼のダウンジャケットを赤色に変えれば、それは私になる。私たちは、ほぼ同じ服装をしていたのだ。そう、双子コーデというやつだ。

ある日いつものように電車に乗り、2列向かい合う形のシートに座ると目の前が青色さんだったときはたまらなかった。

たまたまだったにしろ、客観的にみるといい歳した男同士がペアルックで一緒に通勤し、向かい合って座っているのだ。痛々しいものがある。
男同士のペアルック。言葉に表してみるとなかなかのヘビーだが、どうしようもない。

おそらく青色さんも同じように思っていたと思う。とても気まずい状況に私は微妙な表情をしていたと思うし、それは青色さんも同じだろう。

そしてこの日を境に、私たちは距離を置くことにした。まるでどこかですれ違ったカップルのように。(念のため言っておくが私はゲイではない)

すれ違い

同じシートに向かい合ってから、私たちは意識し合い、決して同じ車両に乗ることはなかった。
青色さんが電車を待っているホームに私は並ばなかったし、また私が座っている座席の近くが空いていたとしても青色さんは決して座らなかった。この前と同じ惨劇を繰り返してたまるか!そんな想いが2人にはあった。

ただ……神様は時々いたずらをする。

青色さんとはもう同じ車両に乗ることはない。そう言い聞かせていた赤色(わたし)は、いつものように電車を降りて出口に向かっていた。そのとき人が多くて目に入らなかった。……隣には青色さんがいた。

青色と並ぶ、赤色。
同じ帽子と同じパンツを履き、同じリュックを背負った私たちは横に並び、同じ方向へと歩いていた。心なしか足並みもそろっていた。いい歳したおっさん2人が。

それに気付いたと同時に、どちらともなく離れて行った。
そして、その距離が縮まることはもうなかった。

1年後

今年も真冬が到来した。
冬の寒さが身にしみて、私は青色さんのことを思い出した。

しかし、駅のホームに青色らしき人物を見かけたことは一度もない。きっと、新しい服を見つけたんだと思う。

私も、赤色のダウンジャケットを卒業していた。
ポーターのリュックも卒業。黒色のニット帽も卒業。私は変わったんだ。
だから、青色さんがわたしのことを見つけることは、もう難しいだろう。



…青色さんはどこだろう?

私は捜した。

いつでも捜しているよ。
どっかに君の姿を。
向いのホーム 路地裏の窓こんなとこにいるはずもないのに。

ワンモアタイム、ワンモアチャンス。

分かっていた。青色さんは見つからなかった。

「フッ、なにやってんだろう、私ったら!」

そう寒空に向かって青色さんにサヨナラを告げ、私は仕事に向かった。

(注意:この話は、いい歳した見ず知らずの男同士が、たまたま同じ電車で通勤してペアルックになってしまったという、ただそれだけの話です)

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